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続、後書き。またの名を自己解説。




中身は後書きというより、各種の解説。
製作背景なんぞに視点を当てて書いてます。例えば、ROSはどうして書かれたのかと、感覚的な部分など。
他にも手法的な部分に触れるかもしれません。

つまりはまあ、設定に触れる部分も多くなるかと思います。
本編を未読のままに読むと意味が分からなかったり、逆に本編を読む時に後悔したくなるかもしれません。
また本編から読み取れる以外の情報は不要と思う人もいるかも分かりません。
よって、以下を読む場合には、上の条件に当てはまりそうな人は注意してください。
同時に、読んだことに対する不都合には当方では責任を負いかねます。
情報の取捨選択で必要ないと思えば、流せばいいのですから。


逆になんらかの形で創作に携わってる人には、少しは参考になるかもしれません。
こいつはこんな考えでこういう話を書いた、みたいに。考え方ってのは、意外と誰も教えてくれないですし。
自分も教える気はないですけど、本編そのものよりかはまあ分かりやすいかと。
そういうのが、ひょっとしたら誰かの役には立つかもしれない。
なので、自分としては何かを作っていて、それを誰かに見せたり見せようとしている人に向けて書いてます。


本来、こういった形で自作(二次創作でも)について触れるのは、作者としては避けていい類の行動とは思います。
ただ誰かの役に立つ可能性があるのと、自省とおさらいのためにやってみたいと思った次第。
その過程で後押しが欲しかったのは、きっといつものこと。


ともあれ、それなりに長い内容となるので、ページ内リンクのテストも兼ねて項目別に分けてみます。


□大本の話
ROSってどんな話?

テーマとか、書きたかったこととか

原作との関わり方、もしくは二次創作でありたく

オリキャラSSであるということ

総論っぽく、作者から見たROS

□ROSのキャラクターたち
○オリジナルキャラクター
ランセルという主人公
アリカというヒロイン
アズマリアというヒロイン
『鎮定』という永遠神剣
○ROSにおける版権キャラ
・エトランジェ
  高嶺悠人
  碧光陰
  岬今日子
  高嶺佳織
  秋月瞬

・スピリット
  アセリア・ブルー
  セリア・ブルー
  ネリー・ブルー
  シアー・ブルー
  エスペリア・グリーン
  ハリオン・グリーン
  ニムントール・グリーン
  オルファリル・レッド
  ヒミカ・レッド
  ナナルゥ・レッド
  ウルカ・ブラック
  ファーレーン・ブラック
  ヘリオン・ブラック
  イオ・ホワイト

・人間
  レスティーナ・
  ヨーティア・リカリオン
  クェド・ギン
  ソーマ・ル・ソーマ
  ルーグゥ・ダイ・ラキオス
  ミュラー・セフィス
  訓練士たち

・エターナル
  倉橋時深
  法皇テムオリン
  黒き刃のタキオス
  不浄のミトセマール
  業火のントゥシトラ
  水月の双剣メダリオ

□作者による各話解説
○イースペリア崩壊からマロリガン開戦まで(一話から九話まで)
○マロリガン戦終結まで(十話から二十四話まで)
○サーギオス戦終結まで(二十五話から三十八話まで)
○対ロウ・エターナル戦から完結まで(三十九話から最終話まで)
















□ROSってどんな話?

永遠のアセリアを原作とした二次創作です。
分類としてはオリキャラ物、長編。量は原稿用紙にしてほぼ二千五百枚相当。
さすがにこれは長編と呼んで差し支えないはず。

製作期間は一年と十ヶ月ほど。
時期的には2007年の九月以降から、製作速度も上がっていったようですね。
個人的には続編のなるかな発売前には完結させたい、と思ってましたが結局だめでした。
今なら言えますけど、なるかなが延期する度に密かに喜んでいました。
あくまで、こっちが一方的に追いかけているだけだったとはいえ。
ただ、本筋と離れた話を省けば期間はもっと短くできたのも確か。期間を考えると、やはりこの辺は反省点。















・テーマとか、書きたかったこと
なんでしょうねぇ……書きたいことはそれなりにあったんですが、書き出した一番の理由は触発されたからでしょうか。
書き始めた頃は文章から遠ざかっていた頃で、何か書きたいと思いつつ何も書けない時期でした。
それがアセリアの妙な荒さと魅力に当てられた、と言うべきか。毒が回ったなんて表現をしてもいいのかも。
結局、一週目の三章ぐらいには半ば書く気でいたんですね。それ以降に出てくる用語やスキル、戦闘台詞とかテキストに残してあるので。
なので、なるべくして作ったのかもしれません。

そういえば、ネットなんかだとスキルの台詞とか簡単に調べられますが、敢えて自分で調べてみるのも一つの手だと思います。
テキストじゃ口調や声音までは分かりませんから。自分でやって初めて分かる発見ってあると思います。
自分で調べるってのは、どの分野でも重要じゃないかと。


話を少し修正しましょう。
ROSのテーマは自分でもはっきりと言えません。何か感じるものがあったなら、それがテーマなのかもしれません。
それでも敢えて言葉にするなら、書きたかったのはアセリアを通して自分が感じたこと、か。
それが何かと言われたら、やっぱり言葉にはしにくい。
今回、書き出すという衝動のが強かったため、テーマを明確化できない内に書き出していた気もするので。
……むしろ漠然とした書きたい何かをはっきりさせていくのが、作っていくことなのかも?


……というか、ROSにテーマなんて本当にあったの?
今にして思えば、口じゃテーマがどうこうとか言っても、本当はそんな大それたものなんてなかったのかもしれない。


ただ、書き出した段階で最後の流れとかは決めていました。ゴールだけは定めていたのです。
もっとも、実際の完結ではまた変わっていましたけど。
人にもよるんでしょうけど、自分は目標というか終着を定めるのは重要だと思います。
創作は割と終着が曖昧でも許されますけど、例えば事業計画で目標が分からないなんて言ったら採用されるはずがないのです。
終着は目標であり指針だと思うのです。向かうべき場所とも言えましょう。

それでも、作っていく内に定めたはずの結末も変わってくるかと思います。もしかするとそれが自然なのかもしれない。
むしろ、そういう変更にどうやって対応するのかが腕の見せ所なのかも。
だからといって、何も考えないのはどうかと思う。
ゴールの見えないマラソンは辛いですよ?
よく途中で話が書けなくなったという人は、この辺が甘いのでは……と思えます。全員が全員そうでないにせよ。
衝動に動かされるのも大事ですけど、終わりが見えないってのは相応の危険状態だとも。


話が前後しますが、ROSで書こうとしたのはアセリアから自分が感じたものです。
それは別に大それたものなんかじゃないし、ライターの高瀬さんが意図したものとはまったく違うかもしれない。
そもそも、自分が何を感じかなんてのは、自分でも掴みきれていない。
ただ、文ってのは読めば何かしら感じるものがあると思います。
それを伝えるのに、多くの言葉や話が必要だったり、逆に一言で済んでしまうことも。
面白いもつまらないも、同じ何かを感じたことには変わりなくて。


だとしたら……ひょっとしてROSは自分なりのアセリアへの感想?
いや、まさかね。でも、そうならなんて回りくどくて時間のかかった感想なのやら。
















・原作との関わり方、もしくは二次創作でありたく
あくまで大本は永遠のアセリアというストーリーであるということ。
これが自分にとっての大前提。二次創作は英語だとFan Artになります。ROSの制作中に知ったのですが、実に的を射ていると思います。
あまりに自分たちの都合がいいように改変したら、それはもう二次創作なんて呼んじゃいけないと思うのです。
……まー、書いてる本人が二次だと言い張れば、それまでなのかもしれません。
どこまでがよくてどこからがいけないのか、その明確な線引きはないですし。
だから線引きも判断も自分でしないといけない。
だったら、せめて自分の納得できる、でなければ騙し通せる範囲でやるしかないと思うわけで。
つまりは感覚頼み。なかなか怖い話ですけど。


さて、自分は二次創作においては読むにしても書くにしても、原作の雰囲気という曖昧なものを重視しています。
それらしいかそれらしくないか、でしょうか。ますます曖昧だ。
感覚的な話なんで、どうしても明言しにくいのですが。
あくまで作者の感覚で言えば、書いてみて違和感があったらだめ、だったりします。

実例っぽく書けば、ニムが最後までランセルと親しくならなかった点。
仲のいい二人が最後の最後まで違和感としてしか、自分には返ってこなかったため。
オリキャラと仲良くするニムントールは、自分の中では相当な違和感の塊のようでした。
自分はこういう違和感を無視できずに、かといって成立させる気もないようで。
まあ、オリキャラなんて原作にいない存在をぶち込めば、違和感が増えるのは当然かも。
この違和感との折り合いをつけながら書いていくのは……正直、一番苦戦した部分だと思う。


それから、作者は基本的に原作の内容を曲げないように努めてました。
一部異なる展開はありますが、むしろまったく一緒なら書く必要もないですし。
だからって好き勝手やるぐらいなら、初めから一次で書けばいいんだし……というわけで、ここでも個人の感覚頼み。
原作の色というか良さをねじ曲げないようにだけはしよう、と。
なので基本的に原作の否定はしていない、つもり。全部を全部肯定するつもりもないけれど。
















・オリキャラSSであるということ

散々言ってきたことですが、作者は正直にオリキャラSSがあまり好きではありません。
書いてたやつが何を言うんだ、って思われそうですけど。
でも、好みで言えばやっぱり好きな部類じゃない。
それに何より、自分の中じゃ制限が多い。原作への影響とか、気を遣わないといけない部分が多すぎる。
そう言うのを気にしないで書けばいい? その結果を敢えて言うなら有象無象でしょうよ。

そもそもROSだって個人的にはオリキャラ物にはしたくなかった。
オリキャラSSになったのは、主役格で伝えたい部分が原作キャラじゃ務められないと分かってしまったため。
ROSの主役はランセルですが、現状で彼と互換できる版権キャラはいません。
彼の行動や発言、価値観を原作サイドのキャラでは当てられない……それ故のオリキャラSSだったと言えます。
伝えたいけど、普通の方法ではそれさえままならない。ある種、苦肉の策とも言えたのかもしれない。

もっとも、オリSSは危険な兆候というか、真っ先に人を選ぶ要素だったわけですが。
二次創作において、オリキャラSSほど嫌われやすい部類はそうそうないと思います。自分の経験上。
原作改変なんかもこれに当たりますが、オリキャラSSは初めから原作改変とも取れますし。

でも、それでやらざるを得ないなら、せめて自分が納得できるオリキャラSSにしてやろうとも思ったわけで。
それに書き出した当時からアセリアの創作界隈はほとんど二分されていた。その他みたいなくくりを含めれば三つか。
SSに限定してみても、ほぼ二極構造。そして皮肉にも自分の好みは、非オリキャラ。
矛盾とは、よくいったもの。

でも、お陰で一つ意識する部分が決まったのですが。
オリキャラSSが嫌いな人にも通用するオリキャラSSを書こう、と。
具体的な名を出してしまうと、雑魚スピスレを意識していた部分は強いです。
あくまで意識であって、あっちに合わせてたわけじゃないです。念のため。
それに勝手に意識してただけですし、明確な意識を持ったのも途中からだったし。
でも結果的には、この目標はある程度果たせたんじゃないでしょうか。これ書いてる時点での付き合いとか見てると。
……一人ぐらいはこういうオリSSを書こうとしたやつがいてもいいでしょうよ。


そして、これはこの場を借りて。
ROSの序文にて、オリキャラSSが苦手な人は注意するように書いています。
うん、あれは注意なんだ。警告でもなければ、禁止なんかでもない。
よく原作無視が嫌いだったりオリが嫌いな人は読まないように……などというのを見かけます。
はっきり言って、俺は気に入らないです。
一体、どんな権限があって人が読む自由にまで注文をつけているのだろうと。
それに、好きな人以外読むなって考え方がそもそも好きになれないのです。

全ての人間が口を揃えて面白いと言う話ってのはたぶんないと思うのです。
でも、その理想を諦めたら、本当に面白い話なんざ作れるのだろうか、と。
少なくとも自分はそこを諦めちゃいけないのだと思ってます。

そんなわけで、そういう予防線の張り方は気に食わないって、とても私的な話。



ROSを書くに当たって、他に意識していたのはオリキャラの存在感。
出しゃばりすぎてもいけないし、かといって空気のような存在感でも困る。
原作に影響を与えすぎてもいけないし、何も変わらないのではいる意味もない。

迷いに迷って当時出した答えが、ROSというSSそのものだったのでしょう。
結局はオリキャラがいてもいなくても、どうとでもなる。そういう形に落ち着いているかと。
どうせランセルはエタだから影響少ないほうが誤差もなくて助かるというもの。というのは果たして言い過ぎなんだろうか。


ただ書いてて分かったのは、オリキャラは決して原作サイドと対立する存在じゃないってこと。
対等に並ばせるのは、自分たちで考えている以上にずっと難しいだけ。
これに関しては、今でもできたとは思えない。いつかはできるかもしれないけど。
大事なのは、舞台世界におけるキャラの現実感になるのでしょう。


それから、もう一点。
主な視点がランセルだったこともあり、固有名詞はあまり使えていません。
たとえば猫だとか犬だとか。
さすがに椅子やテーブル、窓なんかはそのまま使ってますけど、本当は別の言葉に直さなきゃならんはずなんですよね。
カーテンという単語を使用するのさえ、作者は怖がっていたのです。ガラスもあっちじゃなんて言うんだ?
本当に原作の再現がしたいのなら、そういう部分も全て別の言葉に直さなきゃいけないのです。

考えすぎと言えば、それまででしょう。そこまで意識して読む人間なんていないとも思う。
でも、書き手は時にそういう余計な部分にまで気を回せないといけない気がするのです。
世界を近づけるってのは、そういう面も多少にはあるんじゃないでしょうか。
そうやって出された表現が、少しでもファンタズマゴリアらしくあるならよいのですが。
こういう部分を意識して考えて解釈していくのが、たぶん舞台世界の現実感を少しでも出すための要因になる……のかなあ?


本当に最初の四五話ぐらいの間は使える言葉とそうでない言葉の選り分けに気を遣っていたような。
ちなみに横文字はわざと漢字に変換するだけで、誤魔化しがついたような気がします。
なんだかんだで矛盾とか、そういったものは使ってますけど、諺などの引用は基本的に使っていません。
使ってるとしたら、悠人のようにこっちの世界出身者の台詞限定で。

よく考えたら、いい縛りプレイでした。
ただでさえ使える表現が少ないのに、自分から制限してたとか。M気質なんだろうか……。
つくづく同世界からの召還設定は楽な部類だよなぁ、と今なら思えます。
















・総論っぽく、作者から見たROS

自分が望む二次創作の形を求めたもの。納得のできる内容ですが理想型には届かなかったと、そう思えます。
最も理想は届かないから理想なんでしょうけど。
そして、当時の自分が書けた限界と二次創作の一つの形、なんだと思います。
内容に関しては、時間が経てばこの程度と思う日も来るかもしれませんが……当時の一つの限界点がROSになるでしょう。




















□ROSのキャラクターたち
○オリジナルキャラクター
・ランセルという主役
アセリアというストーリーでみれば、主役は間違いなく高嶺悠人になります。
ただし、ROSという話の流れで追えば主人公は当方のランセルになります。
さて、主役と主人公に字面以上の差違はあるのかどうか。
その答えは別にして、ランセルは悠人の陰に隠れているように描写しています。少なくとも大きな事件の時にはあまり前面に出すぎないように注意していました。
結局の所、彼は原作にはいない存在です。果たして、その影響力はどれ程のものだったのか。
人一人の影響は大きくもあり、同時に小さいものです。
ただ一人の人間が流れを大きく変えることもあれば、大勢に影響を及ぼせない場合もあります。
彼は決して何か周囲を大きく変えていくようなタイプではないと、そんなところです。

それ以外にも、ざっと見た感じだと他の人のオリキャラって、原作に対して影響を与えすぎてる印象が強すぎたのも。
あれでは二次創作なのか、表面だけを利用してる一次創作か分からないと思うのです。
アンチテーゼなどと気取ったことは申しませんが、自分の書き方も一つのやり方ではあろうと。
それに他人と同じもの書いても意味ないでしょうし。

話を戻しましょう。
今回、オリキャラを作るに当たって、何をどう意識したか。
一つに原作キャラとの対比。
二つに彼の存在理由。
大本はこの二点で、ここから細分化する形でキャラクター作りをしてます。



まず、一つは原作キャラとの対比。重複を避ける、でもいいかもしれない。
要は被らないようにする。
今回は主役として用いることで、特に悠人を意識して。

アセリアという原作で、悠人は戦う意味や戦いの過程で奪ったものへの想いが中心であったと言えるでしょう。
で、ROSでいかに原作の雰囲気を重視するつもりでも、そこも一緒になってランセルで追いかける必要はない。
何故なら、原作ですでに悠人がやっていることだからです。
悠人の理由に共感できるとか、ここは違うと思うとか。そういう部分を別に、原作で悠人というキャラの答えは提示されている。
そこに少し触れるのはともかく、まったく一緒のテーマを同じように取り扱う必要も理由も、少なくとも作者には感じられない。

この段階で、戦う理由をすでに持っている。あるいは殺生への割り切りが済んでいる。
違和感がない、という言い方でもいいかもしれません。
そういうキャラにしようと考えたのですが、それを悠人たちと同じ世界観でやるのはちと苦しい。
悠人・今日子は頻繁に悩んでそうですし、光陰にしたって弱みを見せられる状況じゃなかったように感じます。
瞬なんかはむしろ例外というか、ラスボスである以上は例外であるべきポジション。

そうなると、むしろ戦いがさほどは珍しくないファンタズマゴリア出身にしたほうが自然だという結論に。
まあランセルをファンタズマゴリア出身の設定にしたために、使える表現が限られてしまうのですが。
それに気づいたのは二話目を書いてた頃ぐらいだったような。
事前に気づいてても、チャレンジのつもりで変わらなかった気はしますが。


以上の点で、まずファンタズマゴリア出身であることを決定。
こうなると問題になってくるのは、あっちの人間は永遠神剣と契約できない点。
これはまぁ、実は○○だったという展開でカバーできるので、解決はできる。
ただ、普通に正体が予想できるんですよね。でも作者としては早々すぐに確信されても面白くないわけですよ。
ってか、読者の人もそうなんじゃないでしょうか。

なので、答えはきっとこうに違いない。でもひょっとしたら?

と思われるように、人間設定を作ったり、それらしい流れで話を進めたり。
……というか、正直に言いますと。本当に書き出してすぐはエタにするか決めあぐねていたのです。
この辺、エターナルにしていいかって自問と手応えを探りつつ、確定したのは10話を書いてた頃だったか。
それ以前は、ソーマやロティのようなハーフ(敢えてクォーターでもいいけど)にでも転用できる流れにしてます。





二つ目のキャラの存在意義とも重なりますが。
エターナルにするか迷った理由は、やっぱりパワーバランスの兼ね合いやら、周りと同じ(であろう)ようなことをやる意味があるのか、と。
最終的にエターナルにしたのは、終盤の言い分を書きたかったが為なんだろうと。

なお、ランセルの言い分の中にはエターナル観を含めて、原作キャラでは成立しなさそうな部分が含まれています。
このキャラじゃこんなことは言わない、考え方はしない、説得力が伴わないなど。
そういう部分をクリアするための存在がランセルであり、それが登場に至った理由です。
こういった点に自信を持って主張できるかは大切だと思います。
よくオリキャラSSは「それって二次を名乗る必要があるの?」と問われがちなんですから。


命名の由来は特にないです。強いて言うなら直感。
後は思いついた後に検索をかけてみて何が引っかかるか、というのを参考に。
自分が知らないだけで有名所と被ったりしたら、やりづらいですし。
幸いにもランセルはそういったものでは引っかかりませんでしたので、それでいってみようと。
なので、名前それ自体には特別な愛着などはないです。

キャラ造型として、性格面は悠人に限らず、なるたけ原作キャラと重複しないように。
んで、かといって必要以上に明るいキャラにはしたくなかったので、あんな無愛想なキャラになってしまいました。
無愛想というより暗い、かもしれない。



余談で戦闘バランスの話。
オリキャラは往々にして、何が原作だろうとその原作キャラよりも強くなりやすいです。
厄介なのは少し強い程度じゃなくて、歯牙にもかけないほど強くなりがちな点。
そういうのが好きな人もいますけど、原作が好きな人ほどそういうのを嫌う傾向にあるよう思います。
何故なら、大本をどこの馬の骨とも知らないのに歪められてしまうから。
まあギャグ展開なら十分にありかと思いますが、そういうのに限って大真面目に書かれちゃうんですよねー。困った話に。

……こういうのって全部が感覚だとかモラルって話で括れてしまうんですよね。
だから嫌いです。そういうのは共有しにくいから。
でも、この手の問題はつくづくその一点に左右されてしまう。
前にも書いてますが、そういうのは舞台世界での現実感が欠如してるからだと思います。





話を本筋に。
ランセルはおおむね三つの時期で分類できます。
それぞれについて補足を。
それと以前mahoさんが描いたランセルの自画像。この場を借りて、改めて感謝を。
元が文字情報だけなので、むしろこういう姿形に映ったのかと妙な感心をしてます。
と同時に、ひょっとして描写不足だったのでは? という疑念も。
果たして描きやすかったのか、視覚的には矛盾したキャラだったのか。


・ランセル前期(登場からタキオスとの遭遇戦まで)

初期状態。
イースペリア在籍当時の肩書きはスルー推奨。というか便宜上、何某かの特別な位置にいたというのを伝えるのが目的だったので。
それ以上に、ランセルという存在は持て余されていた象徴とも言えるか。
ああ、うん。確かに持て余してる……自分で持て余してるし。

エトランジェとして認知されていないのは、ランセルの親族が戸籍も含めて明確であったため。
けれど、一般の人間は永遠神剣の主となれないために、エトランジェ疑惑が発生。
彼の正体云々に関しては明記こそ終盤ですけど、これは随分引っ張ったなーと。もう途中で何度暴露したくなったことか。

ただ彼の立ち位置の曖昧さは、形を変えながらも終盤まで残っていくことに。終盤どころか、完結段階でも解消されてませんね。
同じ場所に留まっていられない性格なんでしょうかね……。


戦闘面に関してだと。
能力イメージはHPと抵抗値が高め、攻撃防御はスキル含めて水準と微妙な性能をイメージして作られてます。
ゲーム的には対魔法用の壁としては有能だけど、どのロールでも総じて決定力に欠けるキャラ、といった具合。
特にサポートスキルの不備は絶望的。結局、終盤まで改善されませんでしたね。
これは何度か劇中でも語ってますが、マナ操作が不得手なため。
正確には、永遠者としての力を抑える時にマナ操作が満足にできないように、構造を書き替えられていたと言うべきですが。
なので、必然的にアタッカーかデフィエンダーとしてしか描写できなかったというのが実情。
まあ、自分が技名の連呼とか書く方としては苦手なのもあるのかも。
どうも、むずがゆいんですよね。気持ちも分からないではないけど。

本編中だと。
近接戦闘においてはラキオスの同位の中でも総合的に抜けているものの、各々の長所や特徴を加味すると決して優勢とは言えない。


マインドは、ある程度を『鎮定』に魂を取り込まれています。
ナナルゥほどじゃないですが、全体的に淡々としているのはこの辺が原因。
感情の起伏が表に出にくいんですね。冷たい印象を与えてますが、それはそれで素の性格です。


劇中の行動やら考え方などは。
序盤の行動の起点には、アズマリアと初代アリカの死があります。
それぞれ遭遇した状況が違えば、受け止め方も変わってきます。

アズマリアの死は、ランセルに行動するための目的を与えることになります。
この時、ランセルはアズマリアのために行動していると言えるでしょう。
ランセルはアズマリアへの感情を最後まで見極めてはいません。
と言うのも、彼にとっては忠義も愛情も字面以上の違いを感じていないため。ただ純粋に、ランセルにとってアズマリアという人間が大事だという点には変わりがないからです。
なので、そのアズマリアのために――というのが、初期のランセルの行動基準となり、ラキオスへの協力の背景ともなります。


初代アリカに関しては、最期に見せられた自己犠牲について問われる形に。

この行動をランセルはスピリット隊に重ねていき、自らの行動で彼の解を示すのは『空虚』戦の最中だと言えるでしょう。


スピリット観に関しては、悠人のそれに近いです。
これはアズマリアの影響を強く受けているのが第一にあります。
加えて待遇で言えば、むしろスピリットのそれに近かったため。このため、ランセルの思考は自然とスピリット寄りになっています。
ただし悠人と明確に違う点として、それを周囲には求めずに、かつ自分が異端であると認めてしまっている点。
この点が、曲がりなりにもあの世界での人間として生きてきたための結果とも。
と、同時に悠人は原作で世界を変えていく人間として描かれていますが、その反対とも言えるんじゃないかと。
悠人が能動ならランセルは受動になります。つまりは消極的。




・ランセル後期(『空虚』戦からメダリオ戦序盤まで)
ランセルの一番の欠点は、決定的なまでのコミュニケーション能力不全でしょう。
その欠点がある程度は改善されていたのがこの時期に当たります。
感情が表に出て叫んだりとか、周りを多少気遣えたりと全体的に一番人間らしかった頃でしょう。

同時に『鎮定』の力を引き出すのに成功し(失敗とも)、戦力的なウェイトが大きくなった期間でも。
戦力面では四神剣≧ランセル>スピリットというバランスに変更されています。
『空虚』戦のようにある程度の時間なら四神剣とも互角以上に戦えますが、限界が来るのも早く反動も抱えることに。
この点が、エトランジェとの埋められない差となっております。
それでも戦力面での増強は確かで、以降はスピリット隊の中核戦力(前衛としてですが)として見なされてます。
サポートスキルに関しては、相変わらず絶望的ですが。


この時期のランセルにとって大きな出来事として、二代目アリカとのイベントがあります。
原作に対して、ランセルはどう違うことをやれたのか、というのをやってみたかったのでしょうか。
そして、劇中においてランセルが自発的に行動を始めた時期とも言えるのかもしれません。



・エターナル期
おそらく好みのざっくり分かれた展開というか。
ROSの読者って、ランセルがE化しない展開を望んでいた節があったんじゃないかと今でも思ってます。
ならずに収拾をつけられる、みたいな期待もあったのか。どうなんだろう。

ですがROSという話で一番強いメッセージ性があったのは、おそらくランセルのエターナル観になります。
それを当事者以外が発言するのって、自分の中じゃ説得力がないのです。
加えて、既存の原作キャラじゃ似合わない見方でしたし。
その点から、ランセルがエターナルになったのは必然だったのかもしれません。

というわけで、他のエターナルと(おそらく)違い、ランセルは強い動機も明確な理由もないままに永遠者になってしまったエターナル、として位置づけています。
彼にとって永遠とは重荷でもあったようですが……それが将来はどうなるのかは分かりません。
そこはたぶん、ここで何かを書くような話ではないでしょう。


さて、エターナル時の戦闘能力。
時深、タキオス>ランセル≧ロウエタ三人組というのが作中でのバランス。
まあ、こんなところだよなーと思うラインです。
それに実際の戦い振りなんて、それこそ書く方に依存されるので、強く見えるか弱く見えるかは別問題。

戦闘における基本スタイルは……何気に変わってますね。
相変わらず近接戦闘がメインなのは一緒ですが、マナ操作ができるようなったのが大きな変更点。
基本的には右手で『律令』を扱いつつ、左手でマナを展開して攻防に用いるというもの。

マナ操作は得意な部類で、周囲への障壁の展開、瞬間的に足場を固めたり、構築して空中を歩くなんぞやってますね。
本当は細かいマナ操作や応用が得意なのが持ち味にするはずだったんですが、個人的にはあまり生かせてなかった。
この辺、作者の技量不足。


衣装に関しては神父をモチーフにしてます。
神父の服と言っても、いくつか種類があるようですが、実際に動くことも考えるとスータンで落ち着いてます。
あれも決して動きやすくはなさそうですけど。
一時期は角帽のほうがそれらしかったのかとも思いましたが、それじゃむしろアメリカのアカデミー卒業者みたいになりそうだったので不採用。



・番外でエターナル期、その二
エターナルに変貌する前後のランセル。
この辺はあらかじめ設定していましたが、本編中で明記する必要をそれほど感じなかったので、詳しくは触れていません。

元々、ランセルはテムオリンの演出で「戦争に歯止めの利かなくなった世界」の人間として生まれています。
彼の誕生した段階で、すでに世界の起動を修正するのは不可能なほど深刻化していて、カオス側からも見切られていた世界です。
ランセルもまた比較的幼い段階から戦地に送られて、戦場に駆り出される身となっていました。
その中にあって、彼がテムオリン(あるいは『律令』)に見いだされたのは、偶然だったとしか言えません。

上位神剣の所有者となれる人材を見つけたテムオリンと、死にたくはなかったランセル。
二人の目的は噛み合っていませんが、結果としてどこか強制的にランセルは『律令』の所有者となります。
他のエターナルと違い、目的意識も動機もないままに彼はエターナルになってしまったのです。
その際にランセルのいた世界は、『律令』の力となるべくマナに還元されています。
そのことに関して、ランセルはやむを得なかったと考えていますが、すでに彼も自分のたちの世界がどうしようもならないのを悟っていたためです。


さて、エターナルになってすぐに、彼はカオス側のエターナルと対峙する機会を得ます。
この時、カオスエターナルは彼を糾弾します。
自らの世界を滅ぼしてまでエターナルとなって生き延びたことと、それを誘発させたテムオリンに付き従っているのにです。
ここで自らを陥れたロウエターナルに怒りの矛先が向いてもおかしくはないのですが、そうはなりませんでした。
逆に自分たちの世界さえ守ってくれなかったのに、後になって自分を否定してきたカオスエターナルに強い不信を感じてしまいます。
以降、彼の秩序の永遠者としてのスタンスは確立します。
世界の破滅に関わる任には直接間接問わずになるべく関わろうとしないものの、カオスエターナル側の介入を確認した場合は別。積極的にそれを妨害ないしは撃破すると。

このため、カオス側からは強く警戒されることになります。
ランセル自身は特筆するほど強力なエターナルではありませんが、彼と交戦する頻度がかなり高かったためでしょう。


この辺は考えるだけ考えて、一部だけしか説明してません。
重ねてになりますが、別に本編にて明言する必要性を感じなかったため。完全に俺設定ですし。
時深やテムオリンとの会話の中で、そういう背景がありそうと読み取れる程度で十分だったからですね。

















□アリカというヒロイン
のっけから余談ですが、日本語にはheroineに当たる言葉がないのですね。
男尊女卑という歴史が窺える一片……いや、大筋にはあまり関係ないと思いますが。


さて、ROSにおけるメインヒロイン。
メインヒロインなのですが、ヒロイン化までは紆余曲折を経てます。
まず、アリカと呼ばれるグリーンスピリットは二人います。
一人は一話で登場したイースペリアの『犠牲』のアリカ。
こっちは早々に退場してもらうつもりでしたが、さすがに名無しで通すのも不自然だったので名前だけはつけたという具合。
名前の由来はヒミカとウルカを足して二で割ってから誤変換した名前。
ランセルを生き長らえさせるために、自身の構成マナを使用してでのリヴァイブのち消滅。
『犠牲』という単語をストレートにやってますね。
この行動に関して、前半のランセルは抱えていくことに。
作者のイメージとしては、繋ぐ者。
便宜上、初代なんて呼ぶ時も多いです。



二人目というか、本命のアリカ・グリーンスピリット。あるいは二代目とも。
『恩恵』の所有者で、ウルカ隊の副隊長格を担っていたという役回り。
リアルタイムで更新を見てきた人たちならご存じだと思いますが、そもそもウルカ隊のアリカは名無しのキャラとして登場しています。
当初は名無しのライバルというか、顔はお互いに知ってるけど名前が分からない、何度も戦場で出くわすベテラン兵としての扱い。
そのまま度々交戦を重ねて、ウルカ隊との決着を機に退場してもらおうと思っていました。
それがなんかまぁ、展開を修正していく内に、彼女が書きたくなってきてしまった。
当時は知り合いに個人的に相談も重ねて、ヒロインにするかしないかでそれなりに迷いました。

というわけで、性格関連の詳しい設定は後付け。後付けですけど、初登場で真面目な口振りにしていたので、それを踏襲しつつ。
この辺は単に、やはりウルカ隊だし真面目さんかなと、割と安易に。

年齢設定は高めで、エスよりも上に設定。これは古参設定のため。
戦場での経験も豊富で、神剣魔法をこなしつつ神剣を用いての直接戦闘を最も得意とする。
これはランセルとの直接戦闘を意識して、よりアタッカー向けに設定したため。
作者の中では通常状態のランセルよりも彼女のが技量面で一枚上です。むしろ自前で回復補助ができるので、明らかに格上。
『恩恵』が短槍なのは、他の緑スピが軒並み長槍に当たる神剣のため。区別化ってやつです。


感情面では成熟しつつも一部は未熟というか、恋愛面では奥手であります。この部分はむしろ接し方を知らなかったためとも。
サーギオスのスピリットはラキオス以上に、差別感情がはっきりしているため……という予測が背景にあります。
実のところ、アリカは人間にある程度の嫌悪感を持っています。
彼女からすれば何もできないくせに、無茶だけは要求してくる連中。という認識だったため。
なので同族のスピリットとの繋がりをより大切にします。行動基準は仲間そのもの。
仲間というか、家族ですらあったのでしょう。彼女には。
この辺はむしろ原作のウルカルートで判断してた部分か。


……本編では意図的に書きませんでしたが、本当ならアリカの救出後から立ち直っていく話も書いていきたいところでした。
あの段階で、アリカはソーマ関連で心に大きな傷を負っていました。
それが元になって、本当はランセルに(というか男に)触れられない、といった話も考えてました。
ただROSは二次創作ですし、これでアリカを一気に前面に押し出すことになるので、構想だけは考えてやらない話となりました。
あの段階でオリキャラを前面に出しすぎるのは躊躇われましたし、こういう話は一次でやるべきじゃないかと思い。ってか、尺足りないよ。
ただ、本当ならそこまでやらないといけないだけの問題なんですよね……。
飛ばして済まない、アリカ。


容姿関連だと、服装はウルカ隊の衣装。これはウルカルートのイベントCGで確認できるものと同じデザインと考えてください。
目は琥珀色……なんですが、あっちの世界に琥珀なんてあるのか。あっても名前違いそうだし。
というわけで、回りくどい表現にて説明してます。この辺、作者の縛りプレイです。
得意なのは裁縫。というか家事全般。
そっち方面が苦手なウルカの代わり、というのを勝手に意識して。
劇中では、救い救われた者。

あと、かなりの余談ですが。
一時期は彼女を『律令』の所有者に仕立て上げるのもありじゃないか、と思っていた時期がありました。
とはいえ、その段階でランセルは一年以上書かれているのに対し、アリカはようやく本格参戦してきた頃。
そのようなキャラでの主役交代劇に意味などなかろうってことで、却下。
奇をてらう前に現実を見よう、ってことで。
















□アズマリアというヒロイン
版権キャラですが、原作でも小説のごく一部にしか登場してこない不遇のキャラ。
詳細が分からないため、実質的に半オリキャラってとことん微妙なキャラ。たぶん、名前だけの訓練士よりはましってレベルなのかも。

そんなアズマリアですが、ベースは小説版に沿っています。というより、明記されてたのが小説版しかなかったからなんですけどね。
とは言っても、どうしても細部が分からないので、全体に渡って拡大解釈と捏造が入らなければいけなかったのも確か。
なので、あまり語ってもどうにもならないような。

劇中では、レスティーナのよき理解者であり、同時に彼女にとっての母親としての意味合いを持たせています。
と言っても、これは小説版に端的に描かれていた部分ですので、決して拡大解釈でもないはずです。

そのアズマリアの思想、理想といったものはレスティーナに通じています。
なので、スピリットに対しても平等に接しようという部分が非常に強いです。
この下地があるために『鎮定』を所有して以降のランセルに対しても、変わらない態度を取り続けています。
また彼女は人間としてのランセルの価値観に影響を強く与えたと言えるでしょう。

ランセルに強く影響を与えていた彼女ですが、彼女もまた何かをランセルに求めていました。
それは別に安易な愛情ではなく、むしろ拠り所を求めていたのではないか、と書きながら思っています。
作者は基本的に身分違いの恋愛というのは成立しないと考えてます。そういうのは現実的に枷となるので。
そういうのを超越するには、どちらかが対等かそれに近くなれないと成り立たないと思っているので。

じゃあ、ランセルを求めたのはアズマリアという女王だったのか人間だったか。
作者は別に答えなんか用意しないでもいいと思ってるのです。

















□『鎮定』という永遠神剣
ちなみにグーグルで五風十雨を検索すると、関連検索に「永遠神剣」が含まれるのは、全部俺のせいです。
なんてこったい。


さて、『鎮定』。六位神剣ですが、二話以降に六位のくせにべらべら喋り出すので、特殊だとすぐに分かりますね。

形状は直剣で、長さも1mに届いていません。拳を保護するためのナックルガードあり。
デザインも意趣に凝ったものでなく、堅実な作りとなっていて……つまり凡庸な剣を想像してくれれば結構です。
ただし、力を引き出した状態になると、剣身の中心に白光の輝線が走り、そこから樹形図のように白線が剣に伸びるように。


口調などは男性格、印象としての年齢は高め。
性格は堅めと見せかけ、ユーモアは結構通用する。むしろ所有者よりも物分かりはよい。
なんだかんだで所有者には甘い部分があり、過保護と思える節もあるにはある。
互いに利用しあっている関係でもあるので、実はかなりいいパートナーなのかもしれない。

元来の所属と本来の名により、秩序を自らに求めている。また自己を律する存在の象徴のような節もあり。
そのため感情や本能優先の言動を嫌っており、ランセルの魂を取り込む形で感情を抑えていたのも、この辺が遠因と言えるかもしれません。
また自身を含め、永遠神剣の名とその在るべき形を非常に気にしている。

長く存在している反動か、永遠そのものに懐疑的になっています。
ランセルが永遠に対する疑問を抱いた時も、『律令』はランセルに明確な答えを示すことはできません。
ランセルと『鎮定』の迷走は『鎮定』に端を発していたと言えるでしょう。


というのが、表には出さなかっただけで決めていた設定でしょうか。


さて、永遠神剣を自分で考えるに当たって、事前に自分で出した条件は。
@実際に存在する言葉であること。さらに公式、二次問わずに被りにくそうな名前
A名前がちゃんと意味を持ち合わせていること
Bあんまり恥ずかしくない名前
C原作のバランスに準じること。


Bは正直怪しいですけどね。まあ、要は割り切りの問題ってことで。
これらは他の永遠神剣にも通じている条件ですが、『犠牲』や『恩恵』は正直被ってもおかしくないネーミングです。
こっちは出した段階で公式と被らなきゃいいや、と@に関しては妥協してます。
とはいえ、『鎮定』と『律令』に関しては、妥協したくなかったですけどね。
ぶっちゃけ、作者がなるかなの発売を気にしてたのは、あっちから登場する永遠神剣と名前が被るんじゃないかって心配してたので。


Aの『鎮定』の意味。
これはもう本編の序文参照。あそこに初めから全部書いてます。
あそこの内容は全てランセルと『鎮定』の暗喩になっている……はずです。


Cは……個人的には当たり前なんだけど、明文化しときます。くどいって自分でも思いますが、それぐらい自分には当たり前。
むやみに強すぎず、かといって弱すぎないようなラインとして六位を選択しています。
それ以上だとエトランジェと互角になって、雑魚スピたちを初めから格下として扱わないといけなくなってしまう。
まあ、『空虚』の位階が五か六かはっきりしてないですが、作者の中では五位で落ち着いてます。
曲がりなりにも四神剣ですし、六位でマロリガン決戦当時の悠人と渡り合うのは無理だろうって判断があります。
あの段階で、弱っていたとはいえ悠人はウルカを打ち負かしてますし、その悠人による『求め』の一撃も『空虚』は防いでますし。


話を戻しましょう。そんなわけでバランスを意図しての六位。
この手のバランスが都合よく無視されるからオリキャラSSは肩身が狭くて困る。

六位と言っても、中盤から実質的に五位と同等の扱われ方をしています。
これは一種の強化イベントだと思ってください。後継機に乗り換えたり強化パーツを装着するのと、感覚としては同じ。






○『律令』という永遠神剣

三位神剣としての『律令』。『鎮定』の本体ともいうべき存在。
所属は元秩序。現在は中立にならざるを得なくなってしまっている。
これは所有者のランセルがロウ・カオス両陣営に対して、本気で交戦した結果ですね。
結局、どちらからも敵として認識されてしまったわけです。
なお、ランセル以上に『律令』はロウ側との交戦を望んではいません。
これは『律令』の意味を考えると納得いただけると思いますが、明らかに秩序に在るべき名のため。
もっとも『律令』にとっての理想の形が、原作中のロウサイドにありそうに見えないのは地味に困った話なのかもしれません。


性格面は『鎮定』からの引き継ぎですので、これといった変更点はありません。
ただし、それ以前の過程から感情的であるというのを肯定的に捉えられるようになっています。
また形状も変化しています。基本の形状は同じですが、ナックルガード部が消滅し、長さが伸びています。
ロングソードがクレイモアに変わった、という変化だと思えば問題ありません。


なお、『鎮定』から『律令』に戻る際に、別れ身としての神剣も取り込み直しています。
これは『鎮定』の間はあくまで六位として必要なマナしか得ようとしていなかったため。
しかし実際にはマナ消失に巻き込まれたのを初め、六位以上の力を発揮するなどもしていたため含有マナは減る一方。
と言うわけで、別れ身も使って三位としての力を戻しています。

なお、劇中も劇中後も別れ身は極力用意しないようになるよう所有者共々、心境の変化も起こっています。
もっとも、そうなると永遠者として存在できる世界も限られてくるのかもしれません。
原作でその辺がどうなってるのか、作者ははっきりと知らないですけど。

ROS全体で通してみると、もしかすると『律令』はランセルよりも変化した存在だったのかもしれませんね。
















□ROSにおける原作キャラ
二次創作の利点の一つに、あらかじめ形の整ったキャラクターたちが用意されているのが挙げられます。
もっとも人の印象は千差万別。
書く人間が変われば、同じキャラクターでも書かれ方は変わってきます。
極端な話、まったく別人のように描かれる場合だってあります。
というわけで、ここではあくまでROS内での版権キャラとしての所見を書き連ねていきたいと思います。


余談ですが設定ってのは作者にとっての武器だと言い換えるられんじゃないでしょうか。
なのでまぁ、余所のキャラや世界観を使うってのは、他人の武器をどこまで使いこなせるか、と言うことでもあるのかも。



○エトランジェ
・主役の務めは果たせたと思う高嶺悠人

原作の永遠のアセリアにおける主人公。
個人的にはヘタレというより優柔不断として捉えています。世間一般はそれをヘタレと呼ぶのかもしれませんが。
それと本編で展開していたドラマは基本的に深くは掘り下げていません。原作やればいい話ですし。
例外的に三十八話の疫病神絡みの部分は、原作でもあまり触れられてなかったような気がします。

疫病神と呼ばれていたことやそれに至る経緯を、どう乗り越えたかは無視しちゃいけないというか大切だと感じたため。
自分の脚で立っている、ということです。伝わりにくそうな例えですが。


全体を通してみると、出番は決して多い方ではなかったでしょう。
しかし山場の戦闘は大抵悠人の出番となります。光陰戦、『空虚』戦、瞬戦などなど。
こういう場を締めての主人公だと思うのです、やはり。
なので、やはり物語の軸ではあったんだろうと。少なくとも自分の中では。

むしろ、あんま本編における山場にオリを持ち込みたくなかったって気持ちのほうが理由としては強く。
やっぱり自分の感覚じゃ、オリキャラは原作にない色と言えるので。

前半はまだヘタレる余裕もあったのですが、後半に入ってからはほとんどが真面目モードでしたね。
まあヘタレ振りは原作で分かることでもあるので、無理にROSで追いかける必要がなかったと感じた部分もあります。
そういう意味では、実は描写不足のキャラだったのかも。

戦闘面では、明らかにスキル不足のランセルに対して、悠人はサポートスキルが豊富で書いてて楽しかったです。
取れる選択肢が多いっていいですね。
スキルの解釈などは勝手にやってるので、原作のものとずれてる可能性はありますが。


















・出番的には厚遇されてた碧光陰

主人公の親友というかライバルというか。そんな基本的な男友達。
そしてシリアスにもギャグにも対応できる、そんなスーパーロリータ。
でもROSというか作者はギャグがうまく書けない人間なんで、残念ながら持ち味を生かし切れていたとは言えません。


さて、悠人との違い。
悠人は危機的状況でも全員がなんとか助かる道を模索する。
光陰は最悪、何かを犠牲にしてでも多くは助けようとする。大の虫を生かすために小の虫を殺せる。
そんな似ていて似てない価値観だというイメージを持ってます。
これは違いであって、差ではないと思います。

なお、サーギオス戦に入ってから光陰が悠人に代わって部隊の指揮を執る機会が多いのは仕様です。
最終的に悠人の存在が光陰へすり替わるなら、初めから指揮官として振る舞ってもらおうと。
それに悠人って、指揮官としては有能なイメージがあまりないので。
エスペリアやセリアのフォローがあって効率的に戦えてきたのではないかと、そんな印象。
逆に言えば仲間の力を引き出せていた、とは言えるでしょう。
そういう意味でリーダーとしての資質はあるのですが、やはり指揮官とはちょっと違うだろうと。


それと元々が稲妻の指揮官ですね。
作者はマロリガンの軍隊構成を正確に把握してないので、稲妻は大統領直属の特殊部隊という位置づけになってます。
実際はどうだったか……違ったら違ったで今更どうこうする気はないです。


生来の性癖からラキオススピリット隊の中では浮いてるっていうか、明らかに色眼鏡がかかってます。
思うに、これが悠人と稲妻って逆の立場になると、今度は悠人が色眼鏡で見られるんじゃあなかろうかと。
悠人だったら、ヘタレ関連で冷たく見られそうな。それともシスコンか。


上方修正かは知らないですが、ROS内だと稲妻でソーマ隊を一度撃破してます。
地味だけど、優秀。まさにスーパーロリータ。いや、違うのか。















・妹なんて飾りですと言われんばかりの高嶺佳織

本当に飾り以外の何者でもなかった感がある。
というのも、ランセルとはあまりに接点がないキャラだったので、正直顧みる必要がなかったのですよね。
どうでもいいのとは違いますが、かといって積極的に思い出す相手でもない。


でも、六話のあの話自体はオリとかそもそも要らないって現実。ナナルゥか佳織メインの二次創作に転用したほうがいいというか。
でも、俺はそれでこそROSだと思うのです。ROSの半分はそういう部分でできているのかも知れない。



って、佳織の話じゃないな。これでは。


佳織の認識からすれば、ランセルは「兄が世話になった人」だったりする。
これが正しいか間違ってるかは、なんとも言えないところだと思う。

















□作者による各話解説
○マロリガン戦終結まで(十話から二十四話まで)
○サーギオス戦終結まで(二十五話から三十八話まで)
○対ロウ・エターナル戦から完結まで(三十九話から最終話まで)

○イースペリア崩壊からマロリガン開戦まで(一話から九話まで)
劇中では導入を含め、前半に当たります。
原作だと二章終盤から三章前半まで。
しかし、何気に長い……これはランセルのキャラ付けやら周辺キャラとの関連づけにそれなりの時間を取りたかったためと言えそう。


・一話
何かが始まってしまった一話。
地味に初期版とは展開が異なってますが、それは割とどうでもいい話。
初期稿でも舞台がイースペリアだったのは同じですし、あくまで過程ぐらいの違いでしかないかも。
とはいえ、まるまる修正してるので、むしろ新規書き直しに近かったのか。

作者としては、原作中のイースペリアの扱いに納得がいかなかったというか、三章に入った途端に忘れ去られたような雰囲気に反抗したかったようです。


しかし読み直してみると、新鮮というか恥ずかしいというか。
こういう話を書いていたことや、今じゃすぐに出てこない表現があったりと、その点で新鮮。
そして、今の基準で見ると直したくなる箇所が山のように出てくる。
これはこれで成長してるってことなんだろうか……。



・二話

実はこの段階では、ランセルの正体が確定していない。
エターナルにするかしないかで迷っていたので。これは十話ぐらいまでの間、ずっと迷い続けていたように思う。



・4話



作中、どこかで書いたと思いますが、言葉を介さない疎通の方が実はシンクロしてるんじゃないかと思う。
言葉が要らないっていうのは、すでにそれだけでより深い関わりじゃないかと。
以心伝心とか阿吽の呼吸って言葉があるぐらいですし。


・38話
2007年現在では、一番早く書き上がった回。そして、この自己記録は後数年は抜けそうにない気がする。
半日かからなかったはず……と、自分の限界を垣間見たような速度での製作を。
いっつもこのペースで書ければ、ROSとか二ヶ月あれば終わりますよね。とか夢を見られる速さ。


・47話
対ロウエターナル戦の開幕戦。
カードはランセル対メダリオ+αと、要はオリキャラ対噛ませ犬の構図と言うべきか。
いえね、オリキャラが果たして版権キャラを倒していいのか、というのは結構迷った点。
幸いと言うべきか、メダリオはそれほど人気のあるキャラでもないし、ネタにされるポジションのキャラでもなかったので、反発は少ないと思うのですが。
ただ、少ないだけでないとも言い切れないとは。

あくまで作者には最後まで二次創作との戦いだったようです。

けど、今更ここまで読んできている読者に関しては、そんな言い分はないだろうと考えることに。
この辺、読者への信用という名の甘えなのかも。